1を聞いて10を知る

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昔、割の良い短期のアルバイトのつもりで大工の見習いをいしていた時期がある。

現場に入って3日間は親方の手元として手伝いをする程度の仕事だった。

4日目に入って、親方に挨拶をすると
いきなり釘袋を付けられ金槌を渡された。

戸惑っていた私に、

「今日は釘を打ってもらうぞ!」と親方は言った。

私は趣味で日曜大工をする程度。釘なんか真っすぐ打てなかったので、

「打ち方を教えて下さい」 と言った。

すると、 普段は寡黙(かもく)で人付き合いの不器用な親方が、

「馬鹿野郎!この3日間、何をしていたんだ!」
と大声でどやされました。

「俺が釘の打ち方を教えた、恐らくお前は簡単に打てる様になるだろう!
しかし、ノコは使えねぇ!
ノコの使い方を教えれば、簡単にノコが使える様になるだろう!
しかしカンナは削れねぇ! 甘ったれるんじゃねぇ!」

と一喝された。

教える事は簡単だが、それをやると人間は思考が働かなくなるという。

思考が働かなくなると、
棟梁はおろか 親方すら抜けなくなると私に教えてくれた。

「1を聞いて10を知る」

1を聞いて1しか出来ないのは、日光の猿の仕事。

人間は思考を働かす唯一の生き物だという。

ほんのツナギで始めた短期のアルバイト。

そんな私に人生とはこういう物だと教えてくれた。

思考を働かせれば、1つの物事から派生して10の物事まで考えが及ぶ。

先見の明が必要とされる会社経営。
1を聞いて10を知る精神は経営にとってとても大切な事。

親方の一言が今の私を形成している。

「馬鹿野郎!甘ったれるんじゃねぇ!」

今も私の心の奥底に、親方の愛情いっぱいの
この言葉が染み付いている。

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松岡 未知

松岡 未知

インターネットの普及に伴い私達の生活は便利になり、ビジネスにおいても以前と比べものにならないくらい効率化が進みました。 またここ最近、ソーシャル・ネットワーキング・サービスは爆発的に普及し、遠からず近からず人と人の繋がりが生まれ、日々コミュニケーションが交わされており、もはや私達の生活になくてはならないツールの一つとなりました。 しかし、一人一台のコンピューター(モバイルを含む)を所有している私達にとって、いつでもどこでも世界中の人々と繋がり、平等に発言する事が可能となった反面、リアルな人間関係が希薄化してきていることも事実です。 その様な中で、バーチャルの世界では自己の考えを主張できてもリアルの世界では引っ込み思案になる若者が増えてきている事が懸念されています。 私達は、IT事業者として最先端の仕事に従事しておりますが、リアルとバーチャルのバランスを大切にしています。 技術やサービスを提供する前に、一人の人間としてお客様に接し、信頼関係を構築する事が初めの一歩と考えております。 こういう時代だからこそ、お客様と顔と顔を付き合わせて心の通じ合うお仕事がしたいと強く願っています。

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